3次方程式の解の公式(第4弾) 〜二次曲線上における解の見事な配置〜

代数

3次方程式の解の記述として、代数的に導かれるカルダノの公式を元にして、三角関数を用いた表示(ビエトの解)と双曲線関数を用いた表示が可能であることを見てきました。

さて、三角関数は円を用いて、双曲線関数は双曲線を用いて定義されていました。そこで今回、我々は

3次方程式の解(特に実数解)は円や双曲線を用いて図示することができるのではないか」

という問題を考えたいと思います。

今回も(実数係数の)3次方程式
$$
x^3-3px-2q=0
$$(但し、\(p\neq0\) とする)を考えます。また、この方程式が虚数解を含むか否かを決定していた値として \(q^2-p^3\) があったので
$$
D=-(q^2-p^3)
$$とおいておきます。

では早速、見てゆきましょう。

 

本記事は【3次方程式の解の公式シリーズ】の第4弾です。

 

方程式の解の表示の復習

\(D>0\) のとき

第2弾より方程式の解は
$$
x=2\sqrt{p}\cos\left(\frac{1}{3}\cos^{-1}\frac{q}{p\sqrt{p}}+\frac{2k}{3}\pi\right)\qquad(k=0,1,2)
$$と表示することができます。

\(D\leq0\) のとき

第3弾より方程式の解は
\begin{align*}
x
=\begin{cases}
\ \ \,2\sqrt{|p|}\cosh\left(\dfrac{1}{3}\cosh^{-1}\dfrac{|q|}{|p|\sqrt{|p|}}+\dfrac{2k}{3}\pi i\right)&(p>0,\ q>0)\\[17pt]
-2\sqrt{|p|}\cosh\left(\dfrac{1}{3}\cosh^{-1}\dfrac{|q|}{|p|\sqrt{|p|}}+\dfrac{2k}{3}\pi i\right)&(p>0,\ q<0)\\[17pt]
\ \ \,2\sqrt{|p|}\sinh\left(\dfrac{1}{3}\sinh^{-1}\dfrac{|q|}{|p|\sqrt{|p|}}+\dfrac{2k}{3}\pi i\right)&(p<0,\ q\geq0)\\[17pt]
-2\sqrt{|p|}\sinh\left(\dfrac{1}{3}\sinh^{-1}\dfrac{|q|}{|p|\sqrt{|p|}}+\dfrac{2k}{3}\pi i\right)&(p<0,\ q\leq0)
\end{cases}\quad(k=0,1,2)
\end{align*}と表示することができます。

 

3次方程式を図形的に解釈する

「実数解=グラフの共有点の \(x\) 座標」である

元の3次方程式を
$$
x^3-3px=2q
$$と書き直します。このとき、方程式の実数解は

「3次関数 \(y=x^3-3px\) のグラフと
定数関数 \(y=2q\) のグラフの
共有点の \(x\) 座標」

と考えることができますね。

係数である実定数 \(p,q\) によって解が変化するわけですが、

  • \(p\) は3次関数 \(y=x^3-3px\) のグラフの形状を決定
  • \(q\) は定数関数 \(y=2q\) のグラフの位置(高さ)を決定

しています。\(p\) を変化させてしまうと3次関数のグラフの形状が変わり、方程式の持ち得る解の “性質’’ が変化してしまうと考えられるので、\(p\) を固定し、\(q\) を変化させましょう。

以下、固定する \(p\) の値で場合分けします。

\(p>0\) のときの解の配置を観る

上記の5本の表示から、\(p>0\) となっているものを選び出しましょう。このときの実数解は
$$
x
=\begin{cases}
\ \ \,2\sqrt{p}\cosh\left(\dfrac{1}{3}\cosh^{-1}\dfrac{q}{p\sqrt{p}}\right)&(p\sqrt{p}\leq q)\\[15pt]
\ \ \,2\sqrt{p}\cos\left(\dfrac{1}{3}\cos^{-1}\dfrac{q}{p\sqrt{p}}+\dfrac{2k}{3}\pi\right)&(-p\sqrt{p}<q<p\sqrt{p},\ k=0,1,2)\\[15pt]
-2\sqrt{p}\cosh\left(\dfrac{1}{3}\cosh^{-1}\dfrac{-q}{p\sqrt{p}}\right)&(q\leq-p\sqrt{p})
\end{cases}
$$となります。

つまり、

  1. \(q\) が(つまり、直線 \(y=2q\) の高さが)大きいと直角双曲線上の1点の \(x\) 座標が実数解となり
  2. \(q\) が(つまり、直線 \(y=2q\) の高さが)\(0\) の周辺だと円周上の3点の \(x\) 座標が実数解となり
  3. \(q\) が(つまり、直線 \(y=2q\) の高さが)小さいと直角双曲線上の1点の \(x\) 座標が実数解となる

というわけです。これを、\(q\) を変化させるアニメーションで観てみましょう。

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\(p<0\) のときの解の配置を観る

上記の5本の表示から、\(p<0\) となっているものを選び出しましょう。このときの実数解は
$$
x
=\begin{cases}
\ \ \,2\sqrt{-p}\sinh\left(\dfrac{1}{3}\sinh^{-1}\dfrac{q}{-p\sqrt{-p}}\right)&(q\geq0)\\[15pt]
-2\sqrt{-p}\sinh\left(\dfrac{1}{3}\sinh^{-1}\dfrac{-q}{-p\sqrt{-p}}\right)&(q\leq0)
\end{cases}
$$となります。

つまり、

  • \(q\)(つまり、直線 \(y=2q\) の高さ)に依らず、直角双曲線上の1点の \(x\) 座標が実数解

となっているというわけです。これを、\(q\) を変化させるアニメーションで観てみましょう。

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アニメーションの裏側

ここまでお見せした4個のアニメーションですが、本記事で紹介しているように場合分けしても、もちろん描くことができます。私は Python という言語で書かれる Blender という3DCGソフトウェアを用いてアニメーションを作成しました。

Python を用いると複素関数の計算も行うことができます!実は、複素関数の力を以てすれば場合分けは不要なのです!!

詳細は以下の動画に譲りますが、複素数 \(\theta\) を複素数平面上の適切な領域に制限してとってあげることで、\(p\neq0\) であれば、全ての解
$$
\begin{cases}
x=2\sqrt{p}\cos\left(\theta+\dfrac{2k}{3}\pi\right)\\[15pt]
\cos3\theta=\dfrac{q}{p\sqrt{p}}
\end{cases}\qquad(k=0,1,2)
$$と書くことができるのです!!!

私が作成したアニメーションは、この一本化された解の表示を用いて場合分けの手間を省いて作られています。

 

動画で観たいという方へ

本記事の内容をスライドを用いた動画で説明しました。動画で説明された方が理解がしやすいという方はご覧ください。

 

最後に

いかがでしたか?3次方程式 \(x^3-3px-2q=0\) の実数解が、三角関数や双曲線関数の変数をパラメータとして、円周上の曲線や直角双曲線上の曲線によって表されていることが観てとれたでしょうか。

鋭いみなさんは、アニメーションを観ながらツッコミを入れたことでしょう。

「赤色の実数解と黄色の実数解は虚数解だったときどこにいたんだ!」

「黄色の実数解と青色の実数解は虚数解になるときどこにいくんだ!」

「緑色の実数解以外の互いに複素共役な虚数解はどこにいるんだ!」

と。

今回の表示では次元が足りないので、円や直角双曲線を \(x\) 軸に射影して潰すことで次元をもらいましょう。その潰した方向に改めて虚軸をとり、\(x\) 軸を実軸と見做し、複素数平面を導入します。これで複素数解が全て図示することができますね。

面白い曲線が描けますよ。

アニメーションを勉強するきっかけ、モチベーションになればなと思い、あえてここではお見せしないことにします。

 

さて、解の表示はやり尽くしましたから、遊びましょう!!

次回、第5弾では、今までに学んだ知識を用いて入試問題を自作したいと思います。自分なりの “美しくも気持ちの悪い’’ 入試問題を作ってみませんか?



AkiyaMath

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